越後三山周辺 東ノ城(1514.4m)、西ノ城(1610m) (本城山、花降岳に届かず) 2014年4月26〜27日  カウント:画像読み出し不能

所要時間

4/26 7:42 銀山平−−8:44 除雪終点(腰付沢)−−9:09 グミ沢トンネル西口−−9:15 グミ沢トンネル東口(休憩、アイゼン装着) 9:30−−9:35 右岸支流に入る−−10:36 尾根に出る(1100m)−−1145m峰−−10:59 1160m(休憩) 11:15−−12:38 東ノ城(休憩) 13:28−−14:15 西ノ城(撤退) 14:36−−15:07 東ノ城−−15:53 1160m(幕営)

4/27 5:08 1160m−−5:31 尾根を離れる−−5:48 グミ沢トンネル東口(アイゼンを外す) 5:51−−6:19 除雪終点(腰付沢)−−7:27 銀山平

場所新潟県魚沼市(旧湯之谷村)
年月日2014年4月26〜27日 幕営
天候快晴
山行種類残雪期
交通手段マイカー
駐車場銀山平に広い駐車場あり
登山道の有無無し
籔の有無籔が出ていたのは全行程の2割くらい。無雪期は灌木藪
危険個所の有無西ノ城西側の1610m峰が超ナイフリッジで恐ろしくて渡れず撤退。標高1360〜1390mくらいが木が無い急斜面で落ちればヤバい。他に籔を避けて急斜面トラバースする個所あり。東ノ城まででも結構危険地帯が登場する
山頂の展望どちらも展望良好。特に西ノ城は360度の大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
1日目2日目
コメント 残雪期の荒沢岳東尾根に挑戦。私の力でどこまで行けるか最初から不安だったが西ノ城までしか届かなかった。西ノ城西側の1610m峰はあまりにも鋭い切れ落ちたナイフリッジで渡ることができず撤退。巻くなら北側しかなさそう。

 国道は腰付沢まで除雪、その後は危険個所なし。尾根西斜面はかなり雪が落ちていたので下ノ小滝沢の最初の右岸側の支流を上った。ここは尾根まで雪が続く。尾根に出ると1146m峰までは雪が落ちて灌木藪が出ていたがそれほど濃くない。その先はおおよそ雪が続くが1240m付近の急斜面は雪が落ちて籔の中を登る。1360〜1390mは木が無い急斜面で落ちれば止められなさそうなので緊張して通過(下りはバック)。この辺から撤退を考え始める。1400mを越えて傾斜が緩むと尾根上は雪が落ちてしまい灌木藪漕ぎ。雪の残り方が悪い場所は北を巻いた(帰りはほとんど北を巻いた)。東ノ城直下は雪の状態が悪く北を巻いて北尾根から山頂へ。東ノ城〜西ノ城間はおおよそ安心して歩ける稜線。西ノ城直下はイヤらしい場所で北をトラバースしてから山頂に立った。たぶん日帰り装備に軽量化すれば西ノ城まで日帰り可能と思われる。雪崩のリスク管理を適切に行えばグミ沢から西ノ城へ直接登ることも可能と見た。西ノ城から見下ろした谷は前を向いたまま下れそうな斜度が谷底まで続いていた


ルート図。文字が見ずらい場合はクリックで等倍表示
1日目のルート断面
2日目のルート断面


銀山平駐車場。全員が釣り客 軽トラに乗って車止め奥に送られる
70リットルザックに少し余裕ありだが重い 奥只見湖はとんでもなく水量が少ない
国道から見た荒沢岳東尾根(クリックで拡大)
花降岳と北尾根 雪ゲート。地元車もここまで
やっと湖面が出てきた 重機が登場すると除雪終点は近い
腰付沢で除雪終点 最初だけ急な雪面。下を巻いた
以降は歩きやすい雪面が続く グミ沢トンネル西口
トンネルの中は標識類でいっぱい カーブミラー、各種標識
下ノ小滝沢 最初の右岸側支流を登る
デブリあり 稜線まで雪が続く
木が生えている小尾根を登った 尾根上は灌木藪
1110m肩 1110m肩から1146m峰を見る。雪が割れ灌木藪が続く
1146m峰を越える 標高1160m付近で休憩(幕営場所)
標高1160m付近から見た東側の展望(クリックで拡大)
標高1160m付近から上を見る 標高1240m付近急斜面は雪が落ちている
標高1240m付近の籔は薄い 再び雪に乗る
振り返る いよいよ危険地帯
写真ではイマイチだが急斜面 籔の尾根を越えて西側へ移動
1410m肩から東ノ城を見る 東ノ城まで尾根上は雪が割れている
割れた雪の境界を歩いた 東ノ城直下は尾根上を登れない
北を巻く 登ってきた尾根。北側を巻けばよかった
雪が消えた北尾根を登る。籔は薄い 東ノ城山頂
登ってきた尾根を見下ろす 東ノ城から西ノ城方向を見る
西ノ城と1610m峰 東ノ城を振り返る
雪の回廊を歩く
西ノ城が近づく
西ノ城直下。雪の割れ方が悪く尾根直登できない 北を巻く
西ノ城西側鞍部に出た 西ノ城へ向かう
西ノ城山頂 西ノ城から見た東ノ城
西ノ城から見た花降岳、本城山
西ノ城から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
西ノ城西鞍部から見たグミ沢。緩い谷まで安全な傾斜が続き、残雪期は雪崩さえ気を付ければ利用価値大とみた
1610m峰から見た花降岳、本城山。1610m峰上はナイフリッジで怖くて渡れず撤退
1610m峰から見た西ノ城から東ノ城への尾根
西ノ城北直下を巻いて下山開始 離れた場所から1610m峰を見る
北側なら巻けそうに見える
東ノ城へ快適な尾根を進む 時々籔を避けて西を巻く
東ノ城再び 籔が出た尾根は北を巻くがクラック多し
クラックで進めなくなって籔尾根上へ 1410m肩から恐怖の急斜面。バックで下った
尾根の西側から東側に移ってまた急斜面でバック 安全地帯に到達
1240m急斜面直上 籔を下る
1160m地点で幕営 夜中に通過した登山者のアイゼン跡
夜明け 1146m峰
1146m峰から見た東ノ城
1146m峰から先は雪無し やっと尾根を離れて雪へ
往路で使用した谷を下る いい傾斜で快適に下る
何の足跡か? 国道に到着
国道から見た奥只見湖 上流方向を見る
1706m峰から北東に落ちる尾根。使えそうに見える 除雪終点
昨日は無かった崩壊。2か所あった 臨時船着場が出来上がっていた
地元民用ゲート到着 銀山平到着
銀山平から見た荒沢岳東尾根(クリックで拡大)


 越後三山の東にある荒沢岳は東西に長い稜線を持ち、荒沢岳山頂はその西端に近い位置にあるが、東に伸びる険しい稜線上には東から東ノ城、西ノ城、本城山、花降岳が続く。当然、これらの山には登山道は無く、推測される藪の濃さを考えれば残雪期を狙うのが一般的だろう。かなり急峻な稜線なのでアプローチに使える尾根は限られる。DJFは花降岳から大磧沢に下るという荒業をやってのけたが、雪崩のリスクが大きいため一般的には使えない手段。通常はどこかの尾根を選ぶ必要がある。東ノ城を登ること、一番傾斜が緩いことから下ノ小滝沢右岸尾根を登路に選択。

 ネットで検索するとここを登った記録は僅か3件。しかもどれも雪山エキスパートの記録だ。それらによると西ノ城以降はかなりヤバそうな印象を受けた。今年は残雪期の山にあまり入っておらず体力的、残雪の山の勘を取り戻す経験もイマイチの状態で、荒沢岳東尾根挑戦は無謀と思えた。しかし大型連休近くで残雪がある場所は限定され、土日で行けそうな場所となるともっと選択肢が狭まる。どこまで行けるか分からないがとにかく挑戦することにした。幸い、土日とも好天の予報だ。

 銀山平へ入るシルバーラインはまだPM6:00〜AM6:00は夜間通行止めとなっていたが小出ICを降りた近くで仮眠してゲートオープン後に入る。トンネルの中のT字路を右折すると白銀の銀山平。例年より積雪が多いのか少ないのかぱっと見た目では分からなかった。例年どおり船着場の駐車場で国道は通行止め。カギの掛かったチェーンがかかっていて地元民のみが鍵でオープンできる。連休初日で駐車場は6割くらいの入りだがほぼ全員が釣り客で、地元の軽トラ等で車止めの奥へと入っていく。湖面の水位は異常に低くこの付近は底が完全に露出、釣師に聞いたら今年はダムの水量が少なく船を出す宿も少ないそうで、ここ20年でも一番釣り客が少ないとのこと。雪は少なめだそうだが十分に山肌を覆っていて、雪解け水が少ないとは思えない。ダムの水位管理のやり方が変わったのだろうか?

 今回は久しぶりの残雪期幕営装備なので非常に重く感じる。12本爪アイゼン、ピッケル、ワカン、15mお助けロープ、冬用寝袋、防寒具、ガス、食料2日分など。水は行動用で1.2リットル。70リットルザックいっぱいとまではいかないがずっしりと重い。これでどれだけ歩けるか不安になる。

 しばらくは除雪された舗装道路歩きなので楽だ。ほぼ等高線に沿って国道が付いているので谷の凹みもそのまま再現。アップダウンはほとんどないのはいいが距離が長くなる。途中、わざと雪で道を塞いだゲートあり。地元車もここまでだが、この下に臨時の船着場があるようだ。さらに奥へと除雪は続き腰付沢で除雪終了。いきなり急な雪壁だがここは下を迂回、その後は問題となる場所は無かった。グミ沢トンネルは長さ300mほどで、今のような天気が良く日が高い時間帯の通過ならヘッドライトは不要だった。トンネルがカーブしているので中央付近は光が届きにくい構造だった。

 トンネルを下ノ小滝沢に到着、思ったより沢は細いが予想通り雪に埋もれている。ここでアイゼンを装着、顔に日焼け止めを塗る。東尾根へ上る斜面はかなり雪が落ちていて適当に斜面を登ると潅木藪に突っ込みそう。どこから東尾根に上がるかだが、地形図を見ると最初に登場する右岸側の谷を登るのが一番傾斜が緩そうだ。沢を遡上、デブリを乗り越えて左にカーブするところで左側に谷が登場し、見える範囲は雪が付いているのでここに決定。

 この谷は左側からデブリが落ちているが、見た感じでは落ちるべき個所は落ちてしまているように見える。適度な傾斜で効率よく高度を稼ぐが、荷物が重すぎて直線的に登るには足にきつすぎジグザグを切って登る。立木は皆無で稜線まで良く見える。時々カモシカの足跡あり。

 尾根が近づくと傾斜が緩む。まっすぐ登ると潅木藪、右手の小尾根の延長は石楠花藪とどちらもいやらしいが潅木藪に入って尾根に出たが、その先の潅木藪がひどいので一度残雪に戻って石楠花藪へ。ここは思ったほど藪はひどくなく再び尾根に出た。残念ながらしばらくは尾根上に雪は無いようだ。

 尾根上は少し根が曲がった潅木藪だが激藪ではなく手で書き分けながら進むことが可能。部分的に西斜面に雪が残って藪を回避できる区間もあるがほぼ尾根直上を進んでいく。東側の雪庇残骸ははるか下にずり落ちて利用不能。1145m峰を越えてその先の鞍部まで同じような状況が続いた。

 1130m鞍部からはやっと雪がつながるようになり快調。ただし、前方に見えている東ノ城への登りがいやらしい。かなり雪が割れて藪が出ており、しかも1250m付近はかなり急そう。さて、まずはそこが突破できるかが鍵だろう。1150m平坦地で休憩。僅かながら木陰があって今日の天候では助かる。この時点では知る由もないが本日はここで幕営となるのであった。

 重いザックを背負って出発。ここから本格的な東尾根の登りが始まる。最初の急傾斜区間は1250m付近だが、ここは雪が完全に落ちて潅木中心の藪の中を進む。しかし濃さはさほどではなく、もしこの状態が続くのなら無雪期でも登れそうな状況。

 再び雪に乗り次の急傾斜は1350〜1410mにかけて。クラックがあちこちに入っているが最初は尾根東側の雪を伝わるのがよさそう。しかし上部で雪が分断され、どこかで藪を越えて西側に這い上がらなくてはならない。あそこが乗り越えられるか。それ以前にそのクラックまでの傾斜がかなり急で、しかも立木皆無で滑落した場合に落ちる東側斜面は下部に行くほど急で止まりそうにない。私にとってこの状況は恐怖心との戦いだ。もちろん、滑らなければ落ちないのだが、職業柄、もしものときのことを考えずにはいられない。ここで撤退の2文字が頭をよぎるがまだ1山も登っていない。せめて東ノ城くらいは登っておきたいと勇気を奮い立たせ、ピッケルを深く打ち込んで1歩1歩慎重にキックステップを決めていく。

 雪の切れ目から藪が出た場所に到着、今乗っている雪がずり落ちて上部との雪の間に段差が生じていた。雪の切れ目から安全に藪に降りられそうな場所が1箇所あり、そこから藪に移って逆目の根曲がり潅木藪を抜けて尾根西側の残雪帯に乗り移る。一安心かと思ったらこれまた相当な急斜面で木がない。落ちればどこまで落ちるやらでさっきと危険度は同じ。再び慎重に足を運ぶ。雪の半分埋もれた潅木が登場してからはその枝を掴みつつ登った。

 急斜面を抜けて尾根上に復帰すると潅木藪だが、ここは籔が寝ずに立っているので比較的楽。しかし尾根直上には切り立ったナイフリッジのような幅の狭い残雪があり、上はとても歩ける状況ではないし両側は雪で押し倒された細い潅木の下は空中。ちょっとだけ右側(北)を歩いたが非常に歩きにくく、潅木の間を抜けて下部にずり落ちた雪の上端へと移行、雪と潅木の境界を進んだ。ここは歩きやすいとは言えないが安全度は高い。

 やがて東ノ城山頂直下。尾根上は雪が割れて進めないため北側を巻いて北尾根から這い上がることに。ここのトラバースも滑ればはるか下まで落ちるので要注意。ただ、今までよりは傾斜が緩く見える。北尾根は雪が消えて西斜面は藪が薄く歩きやすく、西側を巻いて東ノ城山頂に到着。

 山頂は低い立木が西側にあってそちらの展望を遮るが他は良好。今は東に張り出した雪庇が最高点。地形図によると三角点は僅かに北に下ったところにあるようだが見当たらず。雪の下だろう。これでどうにか1山ゲット。収穫なしは無くなった。山頂近くの潅木には山頂標識はおろか目印さえ皆無だった。そういえばここまでの尾根上にも目印は無かった。しばし休憩。

 次は西ノ城。地形図を見る限りは東ノ城から西ノ城までは緩やかな稜線で安全地帯のように見えるがどうだろうか。どうにか西ノ城まではたどり着きたい。先人の記録によると西ノ城の西側の1610m峰の向こう側が藪が生えた岩の壁らしい。そこを抜けられるかどうか・・・。

 東ノ城から先は雪が割れた個所はあるがほぼ雪がつながり、まずまず快適に歩けるようになった。尾根上で潅木藪が出たところも西側を迂回可能な個所が多い。東側は急斜面で雪庇がずり落ちてしまった場所は歩けない。クラックが多数入った場所も危険すぎて西側を迂回する。この尾根は尾根直下の傾斜は緩く西側をトラバースする個所も恐怖感はない。

 思ったよりも淡々と進んで西ノ城山頂直下に到着。ここは東ノ城同様に雪の落ち方が悪く尾根上を進めないので北側を迂回。大きく口を開けたクラックから顔を出した藪と雪との境界を歩く(帰りは雪の上を歩いた)。クラックから這い上がると西ノ城の西側鞍部で、ここにザックを置いてまずは西ノ城山頂へ。緩やかな雪尾根を上がると丸くなった雪庇てっぺんが山頂。東に僅かに潅木藪が出ているが高さ1m程度の低くて細いもので、たぶん無雪期も展望がいい場所らしい。ここにも標識、目印皆無。北には奥只見湖、東は丸山岳を中心とする南会津の山並み、南は平ヶ岳などの尾瀬から利根水源山脈にかけて。空気の透明度が悪くて遠くまで見えないが、周囲はぐるっと残雪の山。西はべったりと雪を纏った花降岳と本城山。本城山山頂部は雪が落ちて藪が出ているのが見える。

 本城山方面には1610m峰があるが、地形図と違って現場で見るとかなり尖っていて、てっぺん付近は雪庇がナイフリッジになっているのが見える。いかにもヤバそう。果たして通過可能だろうか。少なくとも南側は垂直に近い壁で迂回は不可能だろう。

 鞍部にザックを置いたまま1610m峰へと空身で登る。遠めに見て鋭いナイフリッジは現場で見るとまだそれほどでもなくピークに到着。しかし東西に細長い山頂部には今までとは比較にならないほど痩せたナイフリッジ。しかも両側は垂直の壁。とてもナイフリッジ直下をトラバースできるようには見えなかった。お助けロープはあっても稜線上は一面の雪で支点が無いので落ちればあの世行き確実。これは私の精神力では渡るのは不可能で、これまでの恐怖心を伴う急斜面等も考慮して撤退を決定。ここを通過するには雪山における危険地帯の突破経験が必要だろう。たぶん北ア硫黄尾根を歩ける連中なら通過できるのだろう。私にはまだ早すぎた。まだというか、ここを通過できる力がつく時期が来るかさえ分からないが・・・。

 ちなみに帰ってから写真を観察したが、ナイフリッジ直下ではなく20mくらい北側に下ったところにずり落ちた雪が残っており、その上部の藪との境界なら比較的安全にトラバースできそうな感じだった。付いている雪の厚さは不明だが、上部はクラックは見えなかったのでたぶん大丈夫だろう。また、これは直接見える位置ではなかったので推測になるが、グミ沢から1610m峰西側鞍部へ直接上がるのも可能かもしれない。地形図を見る限りでは私が下ろうかと思った1610m峰東鞍部の谷よりも傾斜が緩いはずだ。雪崩のリスク管理をうまくやれば可能かもしれない。

 鞍部は平坦でテントを張ることも可能だが、もし風が出てきたら厄介な場所なので安全地帯まで下ってから幕営することにする。西ノ城から見て手っ取り早そうなのはこのまま北に落ちる谷(グミ沢)を下ることだった。地形図を見るとゲジゲジマークがあってとても下れそうにないが、DJFが下った大磧沢と同じように今は谷は雪に完全に埋もれていて岩や流れは皆無で、傾斜が緩んで万年雪が溜まっているだろう広い谷まで雪が続いているし、稜線から見下ろすと地形的に谷が隠れて見えない場所は無く私でも前を向いたまま下れそうな斜度がずっと続いていた。しかし、その先が大問題。谷の西側が急斜面で各所で雪崩が発生し、谷にデブリが流れ込んでいる。しかも今日はかなり気温が高めで、その日中に下るのはあまりにもリスクが高すぎる。現に往路ではこの斜面から大規模なデブリが落ちるのを目撃している。もしここを下れればたぶん明るいうちに銀山平に到着できるだろうが、今は雪崩のリスクが高過ぎるだろう。東ノ城からあの急斜面を下るのはイヤらしいが素直に往路を戻ることにした。

 重いザックを背負い、再び西ノ城北側をトラバースして稜線へ。東ノ城では休憩は取らずにそのまま下りつづける。東ノ城も北側をトラバース、しばしトラバースを続けるが雪の亀裂が大きくなり上部を進むのが難しくなったところで藪から尾根に復帰。そして1400m付近の木のない急斜面は手袋を付けて右手のピッケル+左手も併用してバックで慎重に下る。途中の藪を横断して東側へ移りまたバック。ようやく安全な斜度に出た頃には腰が痛かった。これでほぼ危険個所は無くなった。

 往路で休憩した1160m平坦地で幕営決定。ブナの近くを整地してテントをブナに結んで風で飛ばされないようにしておく。今は完全無風だが夜中どうなるかわからないから。この時期は日が長いので助かる。水作りを終えて晩酌をして就寝。標高はかなり下がったので夜も寒さは感じずに済み、持ってきたセーターの出番はなかった。そういえば担いできたワカンも出番皆無だった。新雪ラッセル地獄の昨年とは大違いだ。

 夜の早い時刻だと思うがザクザクと足音が聞こえたような気がしたが気のせいかカモシカだろうとそのまま寝込んでしまったが、翌朝、テントの近くに私とは別のアイゼン跡を発見、本当に人間だったようだ。真っ暗な時刻にこんな尾根を歩くのだからkumo氏やDJF並みの実力の持ち主と見て間違いない。この人の足跡はテントより下部の東尾根では見当たらず、どこから上がってきたのか不明だった。この人なら私が撤退した1610m峰も通過できただろうと思う。

 夜中に少し風が出たが明け方には止んで静かな夜明け。出発間際に高幽山付近より日の出。今日も暑くなるかな。今は0℃付近で雪が良く締まっている。こちらは下山だけだ。もう危険個所はないので安心して歩ける。テント撤収時にブナの根元の穴に足をとられてコケた際、思わずテントのポールに掴まってしまい、体重を支えられるわけが無く使用2度目にしてポールが曲がってしまった。折れなくて良かったが残念。

 出発して最初だけは雪が使えるがその後は尾根を離れるまで潅木藪漕ぎ。面倒がらずにアイゼンを脱げばよかったがこれが藪に引っかかって鬱陶しかった。登りで使った雪が詰まった谷が見えたときは正直うれしかった。やっと藪とおさらばだ。

 登りでジグザグを切った斜度も下りなら適度で大またでアイゼンを効かせてまっすぐ下った。下ノ小滝沢まであっという間。グミ沢トンネルでアイゼンを脱いであとは国道歩き。まだトンネル内部は暗くてライトが必要だった。まだ朝早い時刻なので雪が締まってトラバースする個所はちょっとひやひやしたがキックステップとピッケル併用でクリア。除雪終点に出た。湖面には今日も釣り舟が出ていた。

 国道を歩きながら稜線を観察したが、本城山東側の1706m峰から北東に落ちる尾根は上部までべったりと雪が付き、急斜面にありがちな雪が落ちた個所はほとんど見当たらなかった。また、見る限り尾根は広く安全性が高そうに見えた。この尾根が使えれば西ノ城の西側の1610m峰を通過せずに本城山や花降岳に至ることが可能で、東ノ城、西ノ城を登り終えた私にとってはやってみたい尾根だ。来年以降考えてみよう。

 駐車場に到着すると昨日より車が増えている感じ。あの夜間登山者の車もあるのだろう。もしやDJF?とかも考えたが群馬県のナンバーはプリウスのみ。たぶん新車もオフ車だと思うから違うな。あの登山者は今頃は荒沢岳を越えているかな。

 今回は久しぶりの実力不足による撤退だったが、残念と思う気持ちは薄かった。あの場面を乗り切れるくらいの実力をつけるか、次回は別ルートから挑戦か。私の場合、荒沢岳から稜線を無雪期藪漕ぎという選択肢も濃厚だ。今ごろJDF氏が何をしているのか分からないが(個人的には「海外高飛び説」を支持)、山に復帰したら荒沢岳東尾根などはすぐにでもやりそうな気がする。

 

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